広報資料
    2002年3月4日
    〜〜生涯学習検定センター調べ 〜
   

学習内容削減必要なし(46.5%)、土曜日は友人と遊ぶ(69.4%)
「学習内容3割削減」「学校週5日制」について
小中学生7,
000人の本音を調査

     
     生涯学習検定センター(東京都新宿区横寺町)は、小中学生を対象とした「新学習指導要領等に関する意識調査」を実施し、集計結果を速報としてまとめました。これは同センターが2001年12月8日〜同24日に実施した、日本語の語彙力を客観的に測定・評価する『実用日本語 語彙力検定』(2001年度第2回)3級〜7級の全受検者10,716名に回答を依頼し、有効回答数7,384を集計した結果です。(詳細データはこちらを参照)

 文部科学省は、今年4月から小中学校で実施する新しい学習指導要領において、「高度になりがちな教育内容を厳選し、基礎・基本を定着させるため」として、学習内容を3割削減しました。しかしその後、学力低下を懸念する声が高まるなか、今年1月17日には、遠山文科相が緊急アピール「学びのすすめ」を発表し、学習指導要領は"最低基準"であることを明確にし、学校現場に対し、習熟度に応じたより発展的な学習の取り組みを求めました。このように、4月からの新学習指導要領の実施を目前に、大人達の行動には焦りが感じられます。では、一方の当事者である小中学生はどのように感じているのでしょうか。今回の調査では、この問題をめぐり当事者間でいくつかのギャップがあることが、明らかになりました。

 
  <調査結果にみる主な傾向>
  「学習内容削減は必要なし」が半数を占める!
     「現在の学校での学習内容の分量についてどう思いますか」(設問3-2)と尋ねたところ、「ふつうである」が67.1%で最も多く、「少ないと思う」が13.2%、「多いと思う」と回答した子どもは15.8%にとどまった。また、「学校での学習内容が減ることについてどう思いますか」(設問3-1)については、「減らす必要がない」が46.5%で最も多く、次いで「どちらともいえない、わからない」が31.7%と続き、「減らした方がよい」という回答は18.4%に過ぎなかった。これは、現在の学習分量に対して負担を感じている生徒が必ずしも多くないことを示している。
 また、「学習内容が減れば、あなたは授業が今よりわかるようになると思いますか」(設問3-3)という設問で、「そう思う」は23.7%にとどまり、半数以上の子ども(50.5%)が「そうは思わない」と回答している。ここで問題となるのは、設問3-1で学習内容を「減らしたほうがよい」と回答した子どもたちでも、およそ3割(27.5%)が、学習内容が減っても授業がわかるようになるとは「思わない」と考えていることである。また同様に、設問3-2で現在の学習内容が「多い」と回答した子どものうち、学習内容が減っても授業がわかるようになるとは「思わない」と答えた子どもたちも3割弱に達する(27.9%)。こうした子どもたちの学習理解度を上げるためには、単に学習内容を減らすだけでは十分でないことが明らかであろう。
 ただし、語彙力検定の合格者(5,021人)と不合格者(2,363人)を比べると、合格者の過半数(52.2%)が学習内容を「減らす必要がない」と回答しているのに対し、不合格者の同様の答えは34.5%にとどまっている。同じ質問で反対に学習内容を「減らしたほうがよい」という不合格者の回答(25.1%)は合格者に比べ9.9%多い。また、設問3-3@で学習内容が減れば授業がよく分かるようになるとの不合格者の回答(30.0%)も合格者より9.3%多いことから、基礎学力に不安のある子どもにとっては、学習内容の削減が理解度を高める効果が期待できる側面もある。
  土曜日の過ごし方に対する親子間の大きなギャップ
     2002年4月からは、新学習指導要領とともに完全学校週5日制も導入される。今回の調査では、この毎週休日となる土曜日に、(1)自分が増やしたい時間、(2)親や先生に増やされると思う時間、のそれぞれについて尋ねた。(1)と(2)があまりに対照的であることが興味深い(下表参照)。

設問2-2.土曜日が毎週休みになって、
  (1)あなたが増やしたいと思う時間、
  (2)親や先生に言われて増えると思う時間、
それぞれについて、3つまで選んで数字に○をつけてください。
(1)自分が増やしたい時間 (2)親や先生に増やされると思う時間
3つまで回答 n=7384 n=7384
1.家族と旅行に行ったりして過ごす時間 1569 21.2% 1203 16.3%
2.友達と遊んだりする時間 5125 69.4% 243 3.3%
3.1人で遊ぶ時間(マンガ、ゲーム、テレビなど) 2430 32.9% 67 0.9%
4.インターネットやパソコンをする時間 1245 16.9% 424 5.7%
5.家や図書館で宿題や勉強をする時間 959 13.0% 5227 70.8%
6.塾など(家庭教師もふくむ)で勉強する時間 434 5.9% 3467 47.0%
7.学校で部活動など授業以外の活動をする時間 1581 21.4% 1415 19.2%
8.地域の行事やボランティア活動に参加する時間 127 1.7% 1075 14.6%
9.チームやスポーツクラブなどで運動をする時間 1238 16.8% 565 7.7%
10.音楽、絵画、習字、ピアノなど習い事の時間 434 5.9% 950 12.9%
11.読書や映画鑑賞など自分の趣味にあてる時間 2519 34.1% 461 6.2%
12.睡眠時間や、特に何もしない時間 2865 38.8% 466 6.3%
13.その他 312 4.2% 927 12.6%
無回答 226 3.1% 628 8.5%

 (1)自分が増やしたい時間は、「友達と遊ぶ時間」が抜きん出ていて、次いで「睡眠時間や何もしない時間」「趣味にあてる時間」「1人で遊ぶ時間」と続いている。これに対して、(2)親や先生に増やされると思う時間は、「家や図書館で宿題や勉強」「塾などで勉強」の2つに回答が集中した。ちなみに、文部科学省の「地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査」(2002年1月)によると、『大人が子どもに望む土曜日の過ごし方』は、「部屋の清掃や家のお手伝いなど」「友達と一緒に屋外で遊ぶ」が上位に並んだ。勉強に関する回答は下位に並んでおり、「家でしっかり勉強」は下から3番目、「学習塾などでしっかり勉強」は最下位の回答となっている。
 文部科学省の調査での親が子どもに望む過ごし方と、子どもが予想する親の行動には大きな隔たりがある。大人は文部科学省の調査で答えたように行動するのか、それとも今回の調査における子どもたちの想像通りとなるのか――完全学校週5日制の導入は目前に迫っている。子どもたちが大人を誤解しているのか、あるいは大人の本音を見抜いていたのか、答えはまもなく明らかになっていくだろう。
 
  <今回の調査結果を受けて>
   生涯学習検定委員会委員 東京学芸大学名誉教授 宮腰 賢
     意外だったのは、土曜日が「休みになるほうがよい」との回答が54.7%どまりであったということです。学校が仲間と過ごせる場だからでもありましょうが、休みといえば、その結果がどうなるかとの見通しもなしにもろ手を挙げて喜ぶというのではないことがわかりました。
 「学習内容の削減」に関する一連の設問で強く印象づけられたのは、小中学生にも2極分化が進行しているということです。語彙力検定での合格の層と不合格の層とで回答に違いが見られます。前者の努力が正当に評価されないことへのいらだちと、後者の自分の学力不振の理由を他に求めようとする傾向です。学習内容の削減に対する回答に大きな差異があるのは、その顕著な現れでしょう。技能の習得には訓練が欠かせません。その時間が授業ではほとんど取れていません。子どもたちは「やっている者ができる」という事実を熟知しています。学ぼうとする者は学校の外でいっそう学び、自己管理ができず学べない者には学びの機会がこれまで以上に与えられないことになるのでしょう。
   
   生涯学習検定センター事務局 曽根一男
     毎週土曜日が「休みになるほうがよい」と全員が子供らしく無邪気に喜べないのが、現代の子供たちが置かれている状況なのでしょう。学習内容を「減らしたほうがよい」と思う生徒は少数派(18.4%)で、「将来のためにできるだけ高い学力をつけたい」と思わない生徒はわずか7.3%に過ぎません。「授業時間数と学習内容の削減→学力低下」という負の連鎖に不安を感じている生徒もいるのではないでしょうか。
 今回の調査では踏み込むことができませんでしたが、私立校は必ずしも公立校と同様の授業時間数と学習内容の削減を予定していませんので、格差の拡大が懸念されます。
   
  <アンケート調査概要>
   
調査時期     2001年12月8日〜12月24日
調査対象 『実用日本語 語彙力検定』の3級から7級までの全受検者10,716名
調査項目 1)学校完全週5日制について
2)新学習指導要領による学習内容の3割削減について
調査方法 2001年第2回『実用日本語 語彙力検定』の3級から7級の全受検者に対し、試験実施日に任意で回答を求めた
回収結果 回答数は7,514。学年別では、小学5年11%、6年13%、中学1年21%、2年22%、3年31%、その他・学年無回答が2%。これらのうちその他・無回答2%は取り除いて集計。したがって、集計の対象となった回答数は7,384で、回答率は69%。級別では、3級27%、4級25%、5級23%、6級14%、7級11%。男女別では、男子53%、女子48%。合否別では、合格者68%、不合格者32%。学校種別では、公立71%、私立17%、その他・無回答12%。
(※小数点以下を四捨五入しているため合計が100%にならないものがある)
詳細データ

集計結果(学年別、男女別、学校種別、語彙力検定の合否別の詳細データ)は、ホームページ(http://www.kentei-center.com/)をご覧になるか、下記にご請求ください


    <本件に関する報道機関からの問い合わせ先>
生涯学習検定センター 担当:曽根 一男/加藤 聡
〒162-0831 東京都新宿区横寺町55 TEL 03-3266-6760 FAX 03-3266-6762

−広報代行 (株)プラップジャパン 担当:平岡 杏子/三輪 一生
〒150-8343 東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル11F
TEL 03-3486-6868 FAX 03-3486-7502

     
ご参考資料
  実用日本語 語彙力検定について>
     生涯学習検定センター(出版社の渇文社が1999年9月に検定試験の実施を目的に設立)は、実用的な日本語の語彙力を総合的に測定する『実用日本語 語彙力検定』および『計算力検定』、『英単語検定』を開発し、2000年7月から毎年2回実施しています。これらの検定試験は、他人との比較ではなく絶対評価により基礎学力を客観的に測定・評価できる信頼性の高い検定試験として、中学校と学習塾を中心に急速に普及し、開始後2年間で累計の申込者数が10万人を超えています。

実際の検定試験問題の一部や正答率、受検者数などの検定結果データは、生涯学習検定センターのURL http://www.kentei-center.com/でも詳しく紹介しています。
語彙力検定を含む生涯学習三検定(計算力検定・英単語検定)の2002度第1回(通算第5回)は、7月6日(土)〜7月22日(月)に実施します。申込み締切は6月10日(月)です。学校や学習塾等の団体受検のほかに個人向けの「自宅受検制度」もあります。
より詳しい資料、問題集なども貸し出しが可能です。

  <語彙力検定問題(正答率の低かった問題)と解答率> ※斜字が正解となります
   
7級  次の会話文の(  )に入れるのにもっともふさわしいことばはどれですか。(1)〜(4)の中から一つ選びなさい。
マサオ:「半年前に貸したCDをまだアキオから返してもらってないんだ。」
スミコ:「忘(わす)れてるんじゃない。今度会ったときに(  )してみたら? それ、だれのCDなの?」
マサオ:「今大人気のグループ『GOI6(ごいシックス)』のファーストアルバムだよ。」
スミコ:「えっ、本当? 返してもらったら、すぐ私(わたし)に貸してね。わたし、コウイチの大ファンなの。」
(1)出願(25%)   (2)催促(さいそく) (50%)   (3)志望(7%)   (4)探(たん)求(17%)
 
6級  □に入れるのにもっともふさわしいことばはどれですか。(1)〜(4)の中から一つ選びなさい。
「□多数」
(1)高(26%)      (2)広(5%)   (3)大(51%)   (4)正(18%)
 
5級  次の語句の使い方として、もっとも適当なものを(1)〜(4)の中から一つ選びなさい
「割り切れない」
(1)事件の手がかりがあまりにも少ないので、犯人を割り切れない。(57%)
(2)他人の失敗を自分のせいにされたままでは、何とも割り切れない。(24%)
(3)トモコと私は小学校の時からの親友なので、二人の仲はだれにも割り切れない。(17%)
(4)周囲の迷惑(わく)になるので、電車の中では大きな声で割り切れない。(2%)
 
4級  次の語句の意味として、もっとも適当なものを(1)〜(4)の中から一つ選びなさい。
「煮(に)え切らない」
(1)物事を最後まで続けられないこと(46%)   (2)多少のことでは怒(おこ)らないこと(9%)
(3)自分の思い通りにならないこと(12%)   (4)考えや態度がはっきりしないこと(33%)
 
3級  次の語句ともっとも関係の深い文を(1)〜(4)の中から一つ選びなさい。
「合点がいく」
(1)クミコのわがままな主張で、今日の会議は大変混乱した。(2%)
(2)長い時間話し合ったこともあり、一つの結論に到達した。(44%)
(3)図やグラフを使った説明で、やっと理解することができた。(46%)
(4)今日の試合では、メンバー全員が力を合わせて戦った。(8%)
   
※レベルは7級(小学校高学年程度)〜3級(中学卒業程度)


     
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